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ME/CFSについて
どんな病気ですか
突然発症する
慢性の神経系・免疫系の
病気です
Q
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、これまで健康に生活していた人が、ある日突然、あるいは風邪などをきっかけに、原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降、強度の疲労感とともに、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の多彩な症状が長期にわたって続く病気です。日本での患者数は、1999年と2012年の厚生労働省CFS研究班による調査では12~36万人(人口の0.1~0.3%)、2023年の新型コロナ後遺症研究班による調査では60~84万人(人口の0.5~0.7%)と推計されています。
いろいろな名前で呼ばれてきました
欧米では19世紀ごろからこの病気が研究され、英国やカナダでは「筋痛性脳脊髄炎 (ME)」と呼ばれていました。1988年に米国で命名された「慢性疲労症候群(CFS)」という病名が世界に広がりましたが、疲労という名が、患者への偏見や無理解につながってきました。 2015年には米国で「全身性労作不耐 症(SEID)」という病名も提唱されるなど病名変更の検討が始まっています。現在は「筋痛性脳脊髄炎/ 慢性疲労症候群(ME/CFS)」という病名が使われることが多くなっています。
※筋痛性脳脊髄炎 (Myalgic Encephalomyelitis;ME)
※慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome;CFS)
※全身性労作不耐症(Systemic Exertion Intolerance Disease;SEID)
原因は何ですか
原因は
まだ不明です
Q
ウイルス感染症説、内分泌異常説、免疫異常説、代謝異常説、自律神経失調症説など、さまざまな学説がありますが原因は不明です。近年、脳内の神経炎症を直 接調べることができる特殊な検査法(ポジトロンCT) が開発され、ME/CFS患者さんの脳内でも神経炎症 がみられること、また炎症が起きている脳の部位と自覚症状には関連があることがわかりました。CT検査やMRI検査では異常がみられない場合でも、脳内で神経炎症が起こっている可能性があります。
どんな症状が
あるのですか
極度の疲労感や
微熱が続きます
Q
ME/CFSでは、インフルエンザにかかった時のような倦怠感や疲労感、極度の消耗、衰弱が長期間続きます。筋肉や関節の痛み・違和感を伴い、休息や睡眠をとっても回復せず、健康な人が自覚する疲労感とはまったく異なります。また、軽度の運動や知的活動などの労作を行うだけで体調が極めて悪化することも特徴の1つです。
主な
自覚症状
労作後疲労感(休んでも24時間以上続く) 睡眠障害(不眠・過眠) 筋肉痛 関節痛
頭痛 のどの痛み 集中力の低下 微熱 思考力の障害 頸部リンパ節膨張 筋力低下
Q
どんな治療法が
あるのですか
完治につながる
特効薬は
まだありません
診断後の治療方法は、疲労・倦怠感、抑うつや不眠、疼痛に対する薬物治療が一般的ですが、症状が一時的に改善することはあっても、社会復帰を果たすまでに改善する症例は少ないのが現状です。
ただし、最近では、発症のきっかけや症状、生活環境を考慮し、漢方薬を中心とした薬物療法、ツボ指圧などの物理的療法、運動療法、生活指導などの集学的治療で社会復帰まで回復する症例も報告されています。
Q
患者さんには
どのような
困難がありますか
症状に加え
周囲に理解されにくい
つらさがあります
ME/CFS患者さんが感じる疲労感は、健康な人が自覚する疲労感とはまったく異なりますが、安静にしていると元気そうに見えることから、学校や職場で病気を理解してもらえないことが多くなります。こうした無理解は患者さんの家族にもみられることがあり、患者さんは病気だけでない苦しみを抱えています。
また患者さんの約3割は外出困難か寝たきりの状態で介助や生活支援が必要ですが、ME/CFSは指定難病や障害者総合支援法の対象疾患となっていないため公的支援を受けるハードルが高く、困窮している患者さんも少なくありません。
併発しやすい病気
線維筋痛症、化学物質過敏症は
ME/CFSに併発しやすい共通点のある病気です
線維筋痛症は体の広い範囲に慢性的に強い痛みが起こる病気、化学物質過敏症は通常では問題にならないような微量の化学物質の曝露に反応してさまざまな症状を引き起こす病気です。
いずれもME/CFSと同じように脳の炎症と何らかの関係があると考えられています。また、日常生活に支障をきたすつらい症状が続くのに、通常の検査では診断が難しいことから、周囲から誤解や偏見を持たれやすく理解を得られない点もME/CFSと共通しています。