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小児ME/CFS
子どももME/CFSになるのですか
小児特有の症状や問題があります
Q
子どもや10代の若い世代にもME/CFSは発症します。ほとんどの場合は成人と同じような症状ですが、自律神経失調症状が高頻度でみられ、特にめまいや立ちくらみなど起立性調節障害が目立つのが特徴です。また睡眠障害が関係していることが多く、生体リズムの破綻をきたしたことで、内分泌やエネルギー代謝、自律神経機能、認知機能の低下など高次脳機能の問題が生じると考えられています。治療では、まず、睡眠覚醒リズムの改善と十分な休養を行い、それでも改善が難しい場合、薬物治療を併用します。子どもや10代の場合、遅れた学習を取り戻すことや、スムーズに学校生活や集団生活に戻るサポートなども治療の一環として必要になります。
ご家族や学校の先生へ
ME/CFSを発症すると、他の児童や生徒のように授業や活動に取り組むことが難しくなりますが、周囲からは不登校や学習障害などと判断されがちで、患者さんは病気だけでなく、周囲の誤解や偏見に悩むこととなります。
若い世代の場合、特に迅速な治療やサポートが求められるため、診断基準では6か月を待たず、3か月以上で判断することとなっています。
保護者や学校関係者の皆さんもこの病気についてよく理解し、患者さんの将来にとって最良の選択ができるように適切に行動してくださるようお願いします。
小児ME/CFS 国際基準
臨床的検討により説明困難な持続的あるいは再発性の
3か月以上の疲労が次のような条件を満たして続く
A
進行中の労作の結果ではない
B
安静によって実質的に軽減されない
C
結果として教育的・社会的な、および個人活動の以前のレベルに比べて相当な減少がある
D
少なくとも3か月の間、持続あるいは再発する
次のような症状が
過去3か月間において同時並行的に認められる
A
階段を上がる、パソコンを使う、読書などの労作後倦怠感、労作後の疲労
B
疲労回復できない睡眠、睡眠量およびリズム(質)の障害、過眠型睡眠障害(頻回の昼寝を含む)や寝付き困難、早朝覚醒、昼夜逆転などの睡眠問題がある
C
疼痛
しばしば広範囲にわたる、および移動する疼痛(または不快感)。以下いずれかの中から、少なくとも1つの症状を有する
・筋筋膜および/または関節疼痛
・腹痛
・頭痛
D
神経認知徴候
以下の中から少なくとも2つの症状を有する
・記憶障害
・問題点を絞り込む能力(焦点化)の低下
・的確な単語を見つけ出すことが困難
・しばしば、何を言いたかったかについて忘れる
・関心のなさ、思考の鈍麻、情報を思い出せない、一度に1つのものしか集中できない、良くないことが頭に浮かぶ、情報理解困難、思案の連続性を失う、数学または他の教育問題の困難性
E
その他のカテゴリ
以下の3つのカテゴリーのうち2つに、少なくとも1つの症状は有する
・自律神経症状:神経性に引き起こされた低血圧、起立性調節障害、動悸、めまい、バランス消失、息切れ、立位でのふらつき
・神経内分泌系症状:熱感と四肢冷感、微熱と著明な日内変動、発汗、寒さや暑さに対する耐性の低下、体重の著しい変化、食欲異常、ストレスによる症状悪化
・免疫性症状:インフルエンザ様症状の繰り返し、非滲出性咽頭炎またはイガイガ感、繰り返す熱や発汗、リンパ節痛や腫脹、化学物質過敏症の新規発現
明確な説明ができないが疲労状態を示すものの、除外する必要のない疾患
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精神医学的疾患
a 不登校
b 分離不安
c 不安障害
d 身体化障害
e 気分変調症
その他、診断検査で確立することができない症状により定義される状態
a 複数の食物あるいは化学物質に対する過敏症
b 線維筋痛症
その病態に対して適切な治療が存在し、その病態に関連している症状を緩和するための十分な治療を受けている状態
その病態が慢性徴候的な後遺症を残す前にしっかりとした治療を受けているもの
除外疾患の存在を強く示唆するには不十分である、かけ離れたあるいは不可解な身体所見・検査所見・画像所見の異常を示している病態
