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労作後不調とペーシング(活動量の調整)
適切な活動量で、活動後の不調を予防しましょう
ME/CFSや新型コロナ後遺症の患者さんは、ちょっとした身体活動や精神活動(読書、会話、映像視聴、ゲーム、インターネット検索等)後、数時間・数日以内に急激に強い倦怠感が出ることが多く、患者さんが日常生活を送ったり、仕事に復帰したりする上での大きな妨げになっています。
こうした強い不調を予防するために、自分に適した活動量に合わせてエネルギーの消耗や活動時間をコントロールすることがペーシング(活動量の調整)です。
労作後の不調(PEM)とペーシング
人が活動すること、体を動かしていることを労作と呼び、何らかの労作を行った後に不調が出ることを、労作後の不調(PEM:Post-exertional malaise)と呼びます。身体的な活動だけではなく、本を読んだり、スマホを見たり、ストレスを感じたりといった精神的、感情的な活動によってもPEMは起こります。通常、活動後5~48時間で悪化し、数日、あるいは数週間続くこともあります。
ペーシングはPEMを回避するために、適切な活動時間や範囲を患者さん自身が把握し、不調が始まる前に活動を停止して病気を管理していくことです。「どの程度の活動ならば不調が起こらないか」を知って活動と休息のバランスを取りましょう。また体調を整えるために規則正しい生活を心がけ、交感神経・副交感神経の働きを正常にしておくことも大切です。
伝える勇気、断る勇気でペーシングを守る
PEMを回避するためには、ストレスになる事柄や人間関係を極力避けることが勧められますが、ストレスや人間関係をすべて無くして暮らすことは現実的には無理でしょう。家族や支援者、職場の上司・同僚など、周囲の人に活動量の限界や、会話や行動を急に中止することもあることを伝えて理解してもらいまし ょう。自分のペーシングを守るために要望をきちんと伝え、できないことは断る勇気を持ってください。またPEMが起きてしまった時には、自分自身を責めすぎず、ゆっくり休養して自分を労わりましょう。
まわりの皆さんへお願いしたいこと
ME/CFSや新型コロナ後遺症の患者さんは、活動範囲や時間を常に計算して、PEMを回避できるように心がける必要があります。疲労しやすいと同時に、疲労回復に著しく時間がかかるため、このくらい大丈夫だろうと思えるようなことでも何日も寝込んでしまうことがあります。ついさっきまで元気にしていても、突然、電池切れのように動けなくなることもありますので、つらそうにしていたら休ませてください。家族や周囲の方も患者さんの活動限界などを理解して、患者さんがペーシングを守れるように協力してください。
日常生活での注意点と工夫
ME/CFS患者さんは、病気を克服しようと頑張りすぎて、しばしば病状を悪化させてしまうことがあります。では、どのようにむきあえばよいのでしょうか? 岡孝和先生(国際医療福祉大学病院)が動画でわかりやすく解説していますので、参考にしてください。
*動画での説明は、必ずしも全ての(重症度の)患者さんに当てはまるわけではありませんので、担当医に意見を伺いながら、参考になりそうな点を取り入れましょう。
(1)疲労感と正しくつきあう

(2)症状別注意点

(3)日常生活での考え方と行動を工夫する

■岡孝和先生のホームページでは他にも「ME/CFS 患者さんのための臥位で行うアイソメトリックヨーガプログラム」など役立つ情報を得ることができます。