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診 断 基 準

診断が難しいのも特徴です

ME/CFSは一般の保険診療で認められている血液検査、CT検査やMRI検査では異常がみられず、診断が難しいことも特徴です。また全国的に専門医が極めて少なく、適切な診断や治療を受ける機会がないまま、無理を重ねて重症化したり、孤立無援状態になっている患者さんも少なくありません。

■ 臨床診断基準

(厚生労働省研究班2017年)

6か月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める

(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)

1.強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下

病前の職業、学業、社会生活、個人活動と比較して判断する。体質的というものではなく、明らかに新たに発生した状態である。過労によるものではなく休息によっても改善しない。

2.活動後の強い疲労・倦怠感

活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。

3.睡眠障害、熟睡感のない睡眠

4.認知機能の障害 または 起立性調節障害

■ 診断に必要な最低限の臨床検査

(1) 尿検査 (試験紙法) 

(2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン) 

(3) 血液一般検査 

(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像) 

(4) CRP、赤沈 

(5) 血液生化学 

(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、血清電解質、血糖) 

(6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体

(7) 心電図 

(8) 胸部単純X線撮影 

■ 鑑別すべき主な疾患・病態

(1) 臓器不全 

肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など 

(2) 慢性感染症 

AIDS、B型肝炎、C型肝炎など 

(3) 膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患 

SLE、RA、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など 

(4) 神経系疾患 

多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感をひき起こすような薬剤を持続的 に服用する疾患、後遺症をもつ頭部外傷など 

(5) 系統的治療を必要する疾患 

臓器・骨髄移植、がん化学療法、脳・胸部・腹部・ 骨盤への放射線治療など 

(6) 内分泌・代謝疾患 

糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全など 

(7) 原発性睡眠障害 

睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど 

(8) 精神疾患 

双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など 

■ 共存を認める疾患・病態

 (1) 機能性身体症候群(FSS)に含まれる疾患・病態

線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症、月経前症候群、片頭痛など

 (2) 身体表現性障害(DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、

気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)

 (3) その他の疾患・病態

起立性調節障害: 体位性頻脈症候群(POTS)を含む若年者の不登校

 (4) 合併疾患・病態

脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)

病気の見きわめ

PS (Performance Status) による疲労・倦怠感の程度

​PS

0

倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限をうけることなく行動できる

​PS

1

通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずることがしばしばある

​PS

2

通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である

​PS

3

全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、
自宅にて休息が必要である ※1

​PS

4

全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、
自宅にて休息が必要である ※2

​PS

5

通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、
週のうち数日は自宅にて休息が必要である ※3

​PS

6

調子の良い日には軽労働は可能であるが、
週のうち50%以上は自宅にて休息している

​PS

7

身の回りのことはでき、介助も不要であるが、
通常の社会生活や軽労働は不可能である ※4

​PS

8

身の回りのある程度のことはできるが、
しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している ※5

​PS

9

身の回りのこともできず、
常に介助がいり、終日就床を必要としている

● 疲労・倦怠感の具体例(PSの説明)

※1:社会生活や労働ができない「月に数日」には土日や祭日などの休日は含まない。

   また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。

※2:健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。

   半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。

※3:フルタイムの勤務は全くできない状態。ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的

   負担の軽い労働を意味しており、身の回りの作業ではない。

※4:1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。

   ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。

※5:外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。

 

判断基準の一部を満たしてないけれど、原因不明の慢性疲労が認められる場合、特発性慢性疲労(Idiopathic Chronic Fatigue:ICF)と診断し、経過観察する。

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